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仕事
【農業】広大な畑の「見回り」という移動摩擦をIoTセンサーでゼロに。水やりの完全自動化
導入前の課題(摩擦のピーク)
数ヘクタールの広大な農地でトマトを栽培するM農園では、毎日朝と夕方に、スタッフが軽トラに乗って全ハウスの「土の乾き具合」や「ハウス内の温度」をチェックして回っていました。 この見回り(探索の摩擦)だけで毎日2〜3時間が消費され、さらに「土の表面は濡れていても地中は乾いている」という人間の目視の限界(バグ)により、収量にバラツキが生じていました。
実施した「余白生成」へのアプローチ
- 土壌状態の「データ定位置化」: 各ハウスの地中にIoTセンサーを埋め込み、「土壌水分量」「温度」「日射量」を1分ごとにクラウド(ダッシュボード)へ送信。スマホを開くだけで、全ハウスの現在の健康状態(定位置)がひと目で分かる仕様に変更しました。
- 水やりの「アルゴリズム化(条件分岐)」: 人間がバルブをひねるのではなく、システムに条件を指示。「水分量が30%を下回り、かつ午後14時以降であれば、自動で散水システムを10分間稼働させる」という完全自動のパイプラインを構築しました。
削除された摩擦と、創出された余白
| 項目 | 導入前(摩擦) | 導入後(余白) | | :--- | :--- | :--- | | 見回りの時間 | 毎日数時間、車と徒歩でハウスを巡回 | 自宅のスマホで通知を受信(移動時間ゼロ) | | 水やりの判断 | 熟練農家の「そろそろかな」という勘 | 24時間監視するセンサーデータに基づく正確な自動稼働 | | 人材育成 | 「土を見る目」を養うのに数年かかる | データ化されているため、初年度から最適な管理が可能 |
ROI(投資対効果)
「歩き回って目で見る」という肉体労働を、センサーネットワークという静かなインフラへ置き換えました。
年間約700時間に及んでいた「見回り・水やり」というルーチンワークが完全に消滅。農家は空いた巨大な余白を利用して、土壌改良の研究や、直売所などの新しい販路の開拓(マーケティング)に着手。また、水不足や与えすぎによる枯死などのロスが激減し、A級品の収穫量が前年比130%にアップしました。